激動の1日が明け、穏やかな日でした。
しかし心中は全くそうではなく、モヤモヤした感情が常に渦巻く状態。
ネームを練り直して新しくしようと考えたのですが、どうにもうまくいかない。
なんというか、自分の中での立脚点が見えなくなってしまったというか……
自分の思う面白いモノってなんだったんだっけ?とか
そもそも自分が描きたかったモノってなんだったんだっけ?
なんてことを思い始めてペンが止まってしまいました。
なんでしょうねこれは。
昨日のが今になって効いてきたのでしょうか。
なんか、このゴミたちを磨いて自分なりの宝物に仕立て上げるなんてこと可能なのか?と不安になっています。
もうモチーフごと取っ替えるべきか……
でもこの話でもう一度見てもらいたいしな……
なんて悶々としながら机に向かうこと数時間。
なんとなく近くに置いてあった「読者ハ読ムナ」をパラパラとめくりました。
過去に2度くらい読み返したきりでしたが、久しぶりに読んで衝撃を受けました。
「ここに書いてあるの……俺と同じじゃん……」
この本は藤田和日郎さんの仕事場に入ってきた新人(架空の人)が連載作家になるまでを追ったモキュメンタリー的な作品です。
なので、藤田和日郎本人や担当編集による、新人へのアドバイスが満載なのですが……
それがまさしく自分のことを言い当てられていて驚きました。
例えばこれは担当編集者である武者さんのアドバイスです。
展開が早すぎて、読者がこの世界になじむ前に話を進めようとしちゃってるから、冒頭から戦っていることはわかるけど、誰に肩入れすればいいかが分からない。焦ってるの?
読者が「こいつ、誰なんだ?」ということを理解するには、説明が必要で時間がかかるわけ。なのに君のネームでは1ページか2ページにひとりかふたりずつ新しいキャラクターが出てきて、読んでいて混乱しちゃうんだよ。
(中略)
これじゃあ漫画の本編じゃなくて「あらすじ」、ダイジェストを見せられてるような感じになっちゃう。
(中略)
いきなりこの世界をパッ、パッと見せつけられても、こっちはついていけないよ。読者は情報量ゼロから読むわけだから。普通のひとが1ページ目から流し読みしてもわかるくらい丁寧に。
まるで自分が言われたかのような錯覚を抱きました。
(まぁ私のは戦いもしなければキャラも2、3人しか出てこない話なんですが)
それだけ新人は同じミスをやりがちってことなんでしょうかね?
自分も説明を大分はしょってしまいましたし。
「これくらい大丈夫だろ!」みたいな甘えがあったのは認めざるを得ません。
あらすじみたいな話になってるっていうのも当てはまると思います。
すべてお見通しなのか。
彼らには。
そして何より恐ろしいのは、この本を何年か前に2度も読んだにもかかわらず、このアドバイスを全く活かせていなかったことです。
学習しない男なのか私は。
もっと自分を客観視しなくてはならないな……と感じました。
作品に関しても、自分自身に関しても。
というのもですね,昨日のことを考えてたら思ったんですよ。
私は昨日の持ち込みで一個も誉められず、想像の4倍くらいダメ出しを受けました。
で、それについては予想の範疇だったんです。
行く前から「きっとダメ出しされるだろう……。自分はまだまだだ」と思っていましたから。
でも、実際に持ち込みを終えて、私はショックを受けていました。
ショックを受けたのは何故なのでしょうか?
そうなることがわかっていたはずなら、ショックなんて受けずに「当然のことだ」と納得するはずです。
ならばその答えはひとつ。
私は「自分はまだまだだ」と口にしているだけで、本心では「俺はすごい!」と思っていたということなのでしょう。
それも無意識のところで。
なんというか,人間というのは自分自身の感情ですら正確に把握することはできないのだなと痛感しました。
さんざん自分はまだまだだとか言ってたのに、アレは謙遜だったのかよ、と。
思い返すと、たしかに慢心があったのかも知れません。
私はマンガに関しては初心者です。
ただ、好きな作品の二次創作SSとか、一次創作の小説とかは割と書いてきていました。
そしてそのうちのいくつかはネット上でそこそこの人から評価をいただくことができました。
なので、物語を作るということに対して、それなりに自信があったのかも知れないです。
それで意気揚々と持ち込みに行くなんて暴挙に出たのかも知れない。
でも結果は良いとこなしでした。
ページ数を抑えようと無理やり話を捻じ曲げたのが原因だと自分では思っていますが……
こうなってくるとこれさえ怪しくなってきます。
本当にそれが原因なのか?
そもそも自分の作劇に問題があるのでは?
今まで作ってきた話もすべからくゴミだったのではないか?
こんなことをずっと反芻し続ける、そんな1日でした。
昨日は持ち込みに行って良かったと思いましたが、もしかしたら行かない方が良かったのかも知れません。